ラブ&ピーチ

私が生産している福島の桃についての情報をお届けしています!


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ラヴ&ピーチ 福島の桃🍑 霜害余波!!


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急に襲った霜による影響とは?

 

自己紹介

 

 初めまして。私は福島県の県北地区で桃農家を営んでおりますNETCH(ネッチ)と申します。昨年からブログを始めて、桃のことも書きつつもほとんどが趣味のバスケ、NBAのことになっていまして(笑)、このたび、完全に桃にフォーカスしたこの「LOVE&PEACHを立ち上げる運びとなりましたv( ̄Д ̄)v 

 みなさんの手元に届く美味しい桃が、どのように生産されるのかを詳しく、わかりやすく情報発信しますので、ぜひ読んでみてください。

 

簡単な作業工程の紹介

 

 さて、桃を出荷し終えると農家さんは何をやっているのか?それを簡単に説明しますね。

(今回の作業の写真は「まどか」のです。あかつきの次に出荷される品種です。7月末から8月10日くらいです。ソフトボール程の大きさになり、甘みが強いのが特徴です。)

 

①剪定(せんてい)

 必要ない枝を切り落として木を整えることです。大体のやり方は同じなんですが、農家さんによって細かいやり方は異なると思います。私は父に教わったやり方をベースに、講習会等で得た知識を組み合わせてやっています。

 

②摘蕾(てきらい)

 枝になった蕾を必要な数だけに絞り込む作業です。必要ないと判断した蕾は一つ一つ手で取り除きます。

 

③摘花(てきばな)

 枝になった花を必要な数だけに絞り込む作業です。こちらも一つ一つ手作業で取り除きます。摘蕾をやっている最中に時間の経過とともに、蕾が開花するので連続作業になります。


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 4/11の霜が降った当日です。見た目はキレイに満開なんですが、「死んだ花、生きてる花」の見分けは「めしべ」で判断します。


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  めしべを一つ一つ見て判断すると時間がかかり過ぎるので、このまま10日くらい放置しました。結果してからの摘果作業に移行することにしました。

 

 

④摘果(てきか) 荒すぐり→仕上げ→修正

 枝になった果実を必要な数だけに絞り込む作業です。こちらも一つ一つ手作業で取り除きます。荒すぐりの時期の果実はビー玉より小さいです。仕上げの時期の果実はピンポン玉くらいです。修正の時期の果実の大きさは直径が4cmを超えるくらいです。


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  結果してビー玉程度の大きさになったところで摘果作業に入りました。このように6個の果実を1つにします☟

 

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 最終的にソフトボール程の大きさになるのが「まどか」なので、短下肢には1つが適当です。


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 摘果作業中です。まだビー玉程度の大きさです。5/19なので霜から1か月程度です。


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 地面にこのように散らばります。最後は草刈り機でバラバラになって土に還ります。


 

例年よりも早い開花

 今年は3/18に剪定が終了し、枝にはすでに蕾がなっている状態でした。よって翌3/19から摘蕾を開始しました。だんだん春の陽気となり気温が上昇し始め、摘蕾作業中の3/31に開花しました。例年の開花時期は4/10~15くらいです。

 3/31に開花しましたので、その日から摘花作業に移行したわけです。

 

突然襲った霜

 摘花作業中の真っただ中の4/10、11に、福島県内の県北地方をはじめ中通り各地の果樹園で霜による大規模な被害が発生しました。これは最低気温が氷点下となるなど冷え込んだ影響のためです。

 通常は4/10ではまだ蕾の段階で開花しないのですが、今年はすごく早く開花しました。その状態でまともに霜を浴びたので、「開いた花の内部に直接霜が付き、身となる部分の子房が凍るなどして枯れる」という現象が起きました。めしべが受粉して、子房が果実になりわけですが、その子房が枯れてしまっては果実になりません。つまり桃にならないわけです。

 私の農場ではすでに主力の「あかつき」は摘花作業を終え、次の品種の「まどか」の摘花作業を1/3ほど終えたところで霜に遭遇しました。結果、そこで摘花作業をやめて、花が果実になるまで10日程度作業を中断しました。見た目ではどの花が死んで、どの花が生きて果実になるかわからないからです。

 最終的にわかったことは、霜の前に摘花作業を終えてしまっていた「あかつき」は、個数が絞られていたところで霜に襲われる状態になったので、かなりの数を焼失してしまいました。「まどか」は1/3の被害で済みました。


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 これが霜害に遭った花です。このように焼け焦げたような状態になります。もう果実にはならないので取り除きます。

 

 

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こちらはまどかの枝です。
 ①先端の部分ですが、黒く焦げたような状態です。これは霜害ではなく「せん孔細菌病」です。花の状態で病斑が出ると、このように焼け焦げたような症状になります。

 ②これは霜害です。花の内部にわずかに果実が見えますが、果実ごと霜害になり死んでいます。

 ③こちらも霜害で完全に焼けてしまった花です。ほとんどがこのような状態になりました。

 ④これが正常に受粉し果実になったものです。普段は①~④まで全てが正常に受粉して、5cmくらいの短下肢でも5個くらいは果実が付くものですが、今年はこのような状態です。

 


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 4/10~15日にかけて最低気温が氷点下になり冷え込んだ影響で、県北地方を中心に霜の被害が広範囲に出たことが報じられています。桃に限らず、カキ、梨、りんごなどです。果樹のの開花が例年より1週間から10日早く。気温が不安定な時期に満開になったことも、被害拡大の一因だそうです。

福島民報 2021年(令和3年)4月22日(木曜日)


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 4月27日にも再度霜が降り、またもや被害が出ました。先の11日から15日にかけての霜害で生き残った花に追い打ちをかける形になりました。

福島民報 2021(令和3年)4月28日(水曜日) 

 

 また県は5月20日、4月に発生した凍霜害による農作物の被害額(確定値)が27億6723万2000円に上ったと発表しました。農家に対する補償に関しても協議するそうです。

福島民友新聞 みんゆうNET 2021年(令和3年)5月21日

 

www.minyu-net.com

 

 

せん孔細菌病

 枝、葉、実に黒い病斑が生じる病気です。これは薬剤で防除しますが、すべてを防除できるわけではないので、春先に枝に症状が出ます。その場合は症状が出た個所をハサミで切除し、切除した枝は袋に集めて地中に埋めて処分します。最終的に実に生じても、程度が軽い場合は皮を剥けば食べられますし、味も健康にも影響はありません。ただし、見た目が悪くなるので商品になりにくいわけです。


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 これが枝の中間部にできたせん孔細菌病の病斑です。黒くなります。


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 全体を見るとこのような感じです。


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 病斑を取り除くのでその位置まで切り戻します。病斑より上は正常なんですが、それも取り除きます。


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 取り除いた病斑は袋に入れておきます。最終的には集めて地中に埋めて病気が蔓延しない形で処分します。


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 実にできた病斑です。当然そのままにしておくと葉、枝、実に「うつる」可能性があるので取り除きます。


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 ちなみに、作業している畑はこのような感じです。通常作業がしやすいように木を地上から低い位置にとどめておく「低樹高」に育てますが、わたしのところは逆です。木を自然体に高く、大きく育てたので霜の被害も少なく済みました。

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  10段の脚立で作業しますが、それでも届かない位置もあるくらいです。そのときは12段の脚立を出します。